相続手続き

相続手続きを専門家に依頼した場合の費用
1 専門家に依頼することができる主な相続手続き

人がお亡くなりになり相続が発生すると、相続人の数や相続財産の内容などによっては、相続に関するたくさんの手続きを行わなければならなくなります。
代表的なものとして、次のような手続きが挙げられます。
①相続人の調査・相続財産調査・遺産分割協議書作成
②(自筆証書遺言があり法務局で保管していない場合)遺言の検認
③銀行・証券会社等における解約、名義変更手続き
④不動産の相続登記
⑤相続税申告(申告、納付の要否判断含む)
これらの相続手続きには、法的な知識や実務的なノウハウが必要とされるため、専門家でない方が相続手続きをスムーズに進めるのはとても難しいと考えられます。
また、相続人の方の中には、お仕事等でお忙しくされている方もいらっしゃいますので、お仕事の合間を縫って相続手続きをするのはとても大変です。
これらのことから、簡易な手続きのみで済むケースを除き、相続手続きは専門家に依頼することをおすすめします。
以下、上述の各相続手続きに要する費用について、具体的に説明します。
2 相続人の調査・相続財産調査・遺産分割協議書作成
⑴ 相続人の調査
遺産分割協議や相続手続きをするための前提として、相続人の調査が必要になります。
基本的には、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本と、すべての相続人の現在の戸籍謄本を収集して、相続人を確定させます。
相続人の調査は、他の相続手続きを合わせて行うことが多いですが、単体で依頼した場合の費用は、数万円程度になります。
ただし、相続人の数が非常に多い場合などには、費用が高額になることもあります。
⑵ 相続財産調査
遺産分割協議や相続税申告のためには、相続財産を正確に把握し、目録を作成する必要があります。
具体的には、預貯金通帳や残高証明書、有価証券の残高証明書、不動産の登記や名寄帳、相続税申告の場合には死亡保険金明細書などの資料を収集します。
相続財産調査も単体で専門家に依頼することは多くはありませんが、一般的には調査対象となる相手(金融機関や市役所など)1個あたり数万円であると考えられます。
⑶ 遺産分割協議書作成
相続人の調査、相続財産調査ができたら、どの相続人がどの相続財産を取得するかを記した遺産分割協議書を作成します。
戸籍謄本類と財産に関する情報がすでに揃っている場合であれば、遺産分割協議書の作成費用は10万円程度になります。
3 (自筆証書遺言があり法務局で保管していない場合)遺言の検認
被相続人が自筆証書遺言を作成していて、かつその遺言がご自宅などにある場合には、家庭裁判所で検認という手続きをする必要があります。
検認手続きを専門家(弁護士)に依頼した場合、一般的に10~30万円程度の費用がかかります。
管轄の裁判所が遠方にあり出張費や交通費を要する場合などもあるため、状況によって費用は大きく変わり得ます。
なお、遺言に記載されていない相続財産が存在する場合には、当該相続財産については別途遺産分割協議が必要になります。
4 銀行・証券会社等における解約、名義変更手続き
遺産分割協議書や遺言の内容に従って、被相続人の預貯金や有価証券の解約、名義変更を専門家に依頼する場合、一般的には1社あたり数万円の費用がかかります。
5 不動産の相続登記
被相続人が自宅などの不動産を所有していた場合、相続登記が必要になります。
相続登記を専門家(司法書士または弁護士)に依頼した場合の費用は、一般的には1件あたり数万円程度です。
6 相続税申告(申告の要否判断含む)
相続財産(みなし相続財産含む)の評価額が一定金額を超える場合などにおいては、相続税の申告が必要になります。
相続税申告を専門家(税理士)に依頼した場合の費用は、相続財産評価の難易度や申告期限までの残り期間などによって異なりますが、一般的には相続財産の評価額の1~3%程度です。



























