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遺留分とは

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2024年8月28日

1 相続人の最低限の権利

遺留分とは、一部の相続人に認められた最低限の遺産を取得する権利です。

遺留分が認められている人とその割合は、配偶者及び子には法定相続分の2分の1、直系尊属には法定相続分の3分の1となっており、兄弟には遺留分は認められていません。

遺留分が認められている相続人は、万が一ご自分の遺留分が侵害されるようなことがあると、それを請求することができます。

2 遺留分が問題となるケース

⑴ 遺言書の内容が遺留分を侵害しているケース

典型的なケースは、遺言書が存在していて、遺言書の内容が遺留分を侵害しているというケースです。

例えば、長男に全ての遺産を相続させるという遺言書があり、相続人が妻と長男、次男の3名であった場合には、妻は4分の1(法定相続分2分の1の2分の1)、次男は8分の1(法定相続分4分の1の2分の1)の遺留分を請求できることになります。

⑵ 生前贈与が問題になるケース

その他にも、少し珍しいケースとしては、生前贈与に対する遺留分侵害額請求が挙げられます。

例えば、亡くなった時点で遺産が1000万円、相続人が長男と次男の二人で、亡くなる前に被相続人が長男に対して7000万円の贈与をしていた場合とします。

生前贈与と併せた8000万円の遺留分割合(4分の1)の2000万円を次男は受け取ることができるため、遺された1000万円を遺産分割で取得したうえで、遺留分としてさらに1000万円を受け取ることができます。

3 令和元年の法改正による変更点

令和元年の法改正により、遺留分が形成権から金銭債権になりました。

これまでは不動産や預金債権等の各権利につき、遺留分割合で権利を取得すると考えられてきましたが、今回の改正により単純な金銭債権となりました。

例えば、不動産A(1億円)とB銀行に対する預金1億円が遺産で、全ての遺産を長男に相続させる旨の遺言があるケースを例に挙げます。

従前は次男が遺留分請求をすると、不動産Aの所有権の4分の1と、B銀行に対する預金債権のうち4分の1を次男が取得すると考えられていましたが、今回の法改正によって、次男は長男に対して5000万円の金銭債権を有することになります。

また、上述した生前贈与に対する遺留分侵害額請求については、原則として亡くなる前10年間に行われた生前贈与に対してのみ、遺留分侵害額請求ができることになりましたので、その点は注意が必要です。

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