遺留分の放棄に関するQ&A
遺留分の放棄とは何ですか?
まず、遺留分とは、法律により一部の相続人に対して保障された、遺産の一定割合の取り分のことをいいます。
また、遺留分を請求して受け取る権利がある相続人のことを遺留分権利者といいます。
遺留分を侵害するような贈与や遺贈などの無償の処分に対して、遺留分権利者の遺留分を守るために必要な限度内で、侵害額の請求を行うことができるのが原則です。
そして、例外として、被相続人となり得る方の生前に裁判所の許可を得た上で、遺留分権利者となる相続人があらかじめ遺留分を放棄することもでき、その手続きを遺留分の放棄といいます。
なお、被相続人の方が亡くなった後においては、相続開始と遺留分を侵害する遺言・贈与を知ってから1年以上経過すれば、遺留分侵害額請求権は時効により消滅します。
請求権が消滅すれば、事実上、遺留分を放棄したということとなります。
遺留分の放棄に条件はありますか?
遺留分の放棄をする際は、遺留分権利者が、家庭裁判所に対して遺留分放棄の許可申立てをする必要があります。
参考リンク:裁判所・遺留分放棄の許可
また、許可申立てをしたからといって、その申立ても必ず認められるというわけではありません。
例えば生前に十分な贈与を受けているなど、遺留分の放棄を認めてよい合理的な事情・理由があれば、裁判所に放棄を許可され、そこで初めて遺留分は放棄されることとなります。
このように厳格な手続きを設けないと、他の相続人等が勝手に遺留分の放棄手続きをしてしまったり、遺留分の放棄を強要したりするという事態が発生してしまうためです。
相続放棄とは違うのですか?
遺留分の放棄と相続放棄は全く別の手続きです。
形式面においても、遺留分の放棄は生前に裁判所を通じて行う手続きであるのに対し、相続放棄は相続開始後、つまり被相続人の死亡後に裁判所で行う手続きであるというように、手続きを行う時期に違いがあります。
遺留分の放棄をしても、その方が相続人であれば、相続人としての地位を失うことはありません。
一方で相続放棄は、初めから相続人ではなかったことになるという効果があります。
遺留分の放棄を撤回することはできますか?
裁判所によって遺留分の放棄が認められた後は、原則として撤回することはできません。
遺留分の放棄は、被相続人となる方の財産状況によっては、将来自身が得られる可能性のある財産の額に非常に大きく影響しますので、十分に検討してから手続きを行うことが大切です。
そのため、遺留分の放棄を検討している方は、一度専門家に相談することをおすすめします。
遺留分と生前贈与に関するQ&A 相続放棄の期限に関するQ&A